競馬新聞の馬柱で見かける、Bのマークってなんなんだ!って思ったことがある人いませんか?
Bはブリンカーをつけているという表記になります。
B=ブリンカーというのは知っていても、ブリンカーがどのような役目を果たしているのか、しっかり説明できる人多くはないと思います。
そこで今回は、ブリンカーをつける本当の意味、その効果をご紹介したいと思います。
Contents
ブリンカーとは
競走馬の目を覆い、視界を一部遮る馬具の一種です。
カップ状になっている部分は、プラスチックや天然ゴムで作られており、カップの作りや大きさによって視界を遮る広さを変えることができます。
中には片側だけにカップが取り付けられていることもあります。
またブリンカーは「遮眼革(しゃがんかく)」とも呼ばれます。
馬具の中でブリンカーだけは、出走投票時の届出が必要となります。
届出をしたにも関わらず、未装着で出走してしまった場合は、「道具忘れ」として調教師にペナルティが課せられてしまいます。
ブリンカーの効果
ブリンカーは視界を一部遮ることによって、競走馬の意識を競走や調教に集中させ、周りに影響されずに走らせるために使用されます。
メンコの時にもお話したかと思いますが、馬はもともと草食動物のため臆病な性格をしています。
他の動物と比べて両目の感覚が広いので、視界が広く、自分の後ろ以外は見渡せるようになっています。
人の視野が180度程度なのに対し、馬は350度もあるので、周りの環境に驚いてしまうことが多いんですね。
馬の性格によって様々ですが、例えば臆病な馬は視界に入る情報が多すぎて走ることに集中することができず、折り合いを欠いてしまったり、追い込みが甘くなってしまうことがあります。
ブリンカーは馬の本能的に苦手な部分を克服させ、集中力をアップさせるアイテムなのです。
ちなみにメンコについてはこちらの記事で紹介していますので、気になる方はぜひ覗いてみてください。
ブリンカーのデメリット
臆病な馬や気性の荒い馬を走ることに集中させる効果のあるブリンカーですが、その効果が逆に働いてしまうことがあります。
ブリンカーが効きすぎるなんて言われますが、レースに集中するあまり騎手の指示を聞かなくなってしまうことがあるのです。
他にも、見えない不安から全く走らなくなってしまう馬もいます。
恐怖のあまりどこかにお尻をつけていないと落ち着かず、ゲートから出られない馬もたまにいるそうです。
今まで見えていたものが見えなくなるので、当たり前といえば当たり前ですよね。
また、走りすぎてしまう馬には、調教時のみブリンカーを使用することがあります。
しっかり調教する時にブリンカーをつけて、競走時はスピードをコントロールし緩急のついた走りをできるよう外して挑むのです。
ブリンカーなどの馬具は馬によって効果の効き方が全く違うので、その馬にあった馬具を慎重に選択する必要があります。
陣営側は馬の力を最大限発揮させることができるように、一頭一頭しっかりと癖を見極めているのです。
ブリンカーで馬が走るもう一つの理由
ここでは角居勝彦調教師が週刊ポストで連載している「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」で馬具についての記事を紹介します。
今までは集中させる目的でブリンカー使用するとお伝えしてきましたが、角居調教師は肝心なのは「見えない恐怖」と語っています。
競馬(走ること)に慣れてきたり、満足してきた時に、周囲の状況がわからない恐怖を作ることで、その恐怖から逃れるために騎手の指示に従うようになるそうです。
「見えない恐怖」は馬を不安にさせます。馬は不安になると速く走ります。
天敵から身を守る本能を利用して、意識を前に向かせるのです。
馬を怖がらせることがいいことなのかは難しいところですが、その効果は認められています。
またブリンカーは慣れてきた時に外すと効果があることがあるそうです。
ブリンカーによって遮られていたものが見えるようになって、それがまた恐怖となるのです。
ものすごい勢いで馬が追いかけてきたら、確かに恐怖ですね。
ブリンカーの種類
カップの素材は主に天然ゴムやプラスチックで、その大きさが多種多様となっています。
メンコの目穴の部分と一体型のブリンカーがあったり、色などを合わせて作っていたり、見ているこちら側の視覚的にも楽しめるようになっています。
カップの深さによって視界を遮る広さを変えているのですが、馬に合わせて作られています。
馬によっては目の全体をすっぽり覆い隠すようなものもあります。
チークピーシーズ
カップの浅いブリンカーと同じ効果を持つ馬具の一種です。
目の後ろ、頬のあたりにロール状のものを装着して視界を遮ります。
ブリンカーとの違いは出走投票時に届出を出さなくても良いところです。
馬のその日のコンディションによって使用するかどうかを選ぶこともできるので、チークピーシーズを主に使用している陣営もあります。
ブリンカーで穴馬探し!
ブリンカーをつけている競走馬は必ず速く走る!なんてことはありません。では競馬新聞のBのマークはどんな時に注意して見るべきなのでしょうか。
何もしなくてもどんどん走るような馬より、思うように調子が上がらず、いい成績が残せていない馬に試行錯誤の末、ブリンカーを使用することがあります。
この場合、今までは使用していなかった馬が、初めてブリンカーつけて出走することになります。これがポイントです。
視界を遮られながら走るという環境の変わった競走馬は、馬が変わったかのように爆走することがあります。
今までの成績から当然下位人気馬なはずなので、初めてブリンカーを使用した馬は穴をあけやすいのです。
初めてブリンカーをつける情報は、新聞や競馬番組、情報サイトで比較的簡単に確認することができるので、皆さんも一度ブリンカーに注目してレースを見てみると面白いと思いますよ。
ちなみに英語では「ファーストタイム・ブリンカー」と呼ばれ、日本だと「初ブリ」なんて呼ばれていますね。
まとめ
ブリンカーだけでなく矯正馬具に全てに言えることですが、逆効果になることもあるということから、陣営側も見ている側も悩むポイントのひとつになりますよね。
だた馬券を買う時に一番関係してくるのはブリンカーだと思いますので、効果を覚えておいて損はないかと思います。
自分が記憶しているなかでブリンカーをつけていた名馬はクロフネですね。
クロフネはもともと強い馬ではあったのですが、行きたがる気性を抑えるためにブリンカーが使用されたと思われます。
3歳の時に初めて使用され出走したNHKマイルでは、2着に5馬身差をつける圧勝。強さをさらに引き出す結果となりました。
良し悪しありますが、ブリンカーがトレードマークの名馬がまた現れると、いろんな視点で競馬が面白くなるので嬉しいですね。
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