メンコとは競走馬の顔や耳を覆う馬具の一種です。画像で「?謎?」と書いてある部分にあたります。
みなさまは競走馬たちのメンコに疑問を抱いたことはありませんか?
なぜしているのか、耳や目まで隠れているものなど種類も様々でおしゃれの一種なのか。
今回はその全てを解説していきます。
メンコの役割
競走馬がメンコを装着する理由は主に3つあります。
①耳を覆うことで防音の効果があり、音に敏感な競走馬を落ち着かせる
馬はもともと草食動物のため臆病な性格をしています。なので天敵である肉食動物に襲われた時にすぐに逃げ出せるよう音には非常に敏感です。
レース前のパドックやゲートの開閉音などで興奮して余計な体力を消耗してしまうことを避けるために使用することがあります。
しかしメンコを装着することにより、周囲の音が聞こえにくいことで競走馬が不安を感じてしまい、逆効果になってしまうこともあります。メンコが不利に働くリスクを考えて、陣営側はメンコの装着を行うかを決めます。
この選択がレースの勝敗を分ける可能性があるので、最善の注意が必要ですね。ちなみにメンコの耳の部分を耳覆いと呼びます。
②レース中に前を走る競走馬の蹴り上げた砂が顔にかかるのを防ぐ
音に敏感でない競走馬でもレース中に砂が顔にかかることを嫌がることがあります。そのために走る気をなくしてしまうことを防ぐためにメンコをつけるケースがあります。
その場合、耳覆いがないメンコを使用します。耳覆いがないメンコは鼻頭と呼ばれています。
余談ですが障害競走でメンコをする場合は、飛越時にずれて前が見えなくならないように目の周りが大きくなっています。
③お洒落さんになれる
最近では勝負服や他の馬具に合わせたり、厩舎オリジナルや馬の名前に合わせているメンコもあります。
こだわりのあるメンコが増えてきて、見ている側もレースだけではなくファッションチェックも楽しみのひとつになりつつありますね。
パドックのざわつきを嫌ってパドック中のみメンコを使用することもありますので、パドックでは好きな馬の普段見られない姿が見られるかもしれませんよ。
いくつか特徴的な厩舎メンコを紹介します。
安田隆行厩舎のメンコは黒地に金色のマークが中央に刻まれています。
このマークが安田隆行調教師のイニシャルであるT.Yをかっこよくデザインしたものだそうです。
教えてもらわなかったら絶対に分からなかったと思いますが(笑)
スプリンター女王のカレンチャンが装着していると最高にかっこいいです。
西園正都厩舎では水色に赤色の大きな星が描かれた派手なメンコを使用しています。
派手なデザインには理由があり、遠くからでも管理馬が確認できることだそうです。
見た目が特徴的だと見ている側も覚えやすいのでファンを作りやすいですよね。
また星のマークの意味は蝦夷の開拓団のシンボルをモチーフにしているそうです。
メンコと馬具
顔に装着できる馬具はメンコ以外にもたくさんあるけど、その違いがイマイチわからない。そんな人のためによく見かける馬具を紹介します。
・ブリンカー
メンコの目穴の部分の周りにカップをつけ、視界を遮ることでレースや調教に集中させるためのものです。また遮眼革とも呼びます。
メンコとブリンカーは間違われやすいですが、役割が大きく異なっています。
メンコは音と砂からの防御でしたが、ブリンカーは視界を遮る役目をしています。
目の周りを天然ゴムやプラスチック製のカップで覆うのですが、競走馬によってカップの深さが異なっていて、中には片側しか装着しない馬もいます。
ブリンカーのみ、馬具の中で出馬投票時の届出が必要となります。
届出をしたにもかかわらず、装着せず出走してしまった場合は、「道具忘れ」として調教師にペナルティが科せられてしまいます。
出走表でよく見かける🅱のマークがブリンカーを装着している競走馬の表記です。
初めてブリンカーを使用する時、連続で使用していたブリンカーを使わずに出走する時は、今までと全く違う馬のように走ることもあり、穴をあけやすいと言われているので注意が必要です。
・チークピーシーズ
馬の目の後ろ、頬のあたりにロール状のものを装着したもので、視界を遮りレースに集中させるため使用します。
顔が覆われることを嫌う競走馬に使用することが多く、ブリンカーと比べて視界を遮る力は低くなっています。
ブリンカーと違う点は出走投票時に届出を出さなくても良いところです。
この手軽さによって競馬界で頻繁に使われるようになりました。
・ホライゾネット
目穴部分をネットで覆われた網目状のブリンカーのようなものです。主にレース中に目に砂が入るのを防ぎます。
ホライゾネットはパシュファイヤートンボと呼ばれることもあります。
レース中に前の競走馬が蹴り上げる砂が目に入ることを防ぐ目的の他に、視界を制限してレースに集中させる効果もあります。
ただしホライゾネットはパドックやゲートインまで着用していて、出走前に外すのが一般的となっています。
オリジナルメンコ
厩舎のオリジナルメンコはいくつか紹介しましたが、特徴的な馬の名前に合わせたメンコなど、まだまだ面白いメンコがたくさんあります。
ニシノシタン
ニシノシタンの顔の模様にメンコの模様を合わせてあります。技アリ!と言いたくなる楽しさと上品さのあるメンコですね。
ニンジャ
これはその名の通り、手裏剣の模様です。
これ以外にも黄色地に赤の手裏剣や、「忍」「参上」などの言葉入りのものもあり、種類豊富で飽きさせません。海外の人にも人気が出そうですよね。
オウマタイム
「御馬時間」これはインパクトありますね。「御」の字が小さく入っているのがまた可愛いです。
カシノピカチュウ
これは…(笑)これは完全にポ○モンの方のメンコですね。堂々とし過ぎていて心配になります。
その後、ある方面から注意を受けたようでおとなしめの名前入りメンコに変わっています。さすがにですかね(笑)
シャークファング
これもまた名前の通り。ただ模様というより全体で表現しています。
サメのように鋭い噛みつきで差しきることができるのか。名前はかっこいいんですがこのメンコで和みますね。
スーパノヴァ
直訳が書いてあるだけですが、スーパーノヴァも超新星も両方かっこよくてずるいですね。
地方まで見に行く価値ありです。
サトミアマゾン・アマゾンスピリット
メンコといえばやっぱりこの2頭です。地方代表ヒットマンことサトミアマゾンとスナイパーのアマゾンスピリット。(アマゾンスピリットが装着しているのはパシュファイヤー)
つの丸先生の漫画「みどりのマキバオー」と「たいようのマキバオー」に登場する馬です。興味があればぜひ読んでみてください。
ホエールキャプチャ
2014年のヴィクトリアマイルの待機中に起きた出来事なのですが、つけていたメンコがずれて間抜けな姿が写真に納められています。
残念ながらそのレースは4着に終わっていますが、2012、2013年と同タイムで走破しているので相手が強かったということでしょう。
最後に
メンコや他の馬具も効果がある馬とそうでない馬といます。
生き物である以上、性格も様々ですので過度の信用はしてはいけませんが、ブリンカーを初めて装着する馬がいた場合は予想のひとつとして考えてみてもいいかもしれません。
それだけではなくパドックやレースを見ている時に、おしゃれなメンコをしているお気に入りの馬が見つかるかもしれません。
そんな風に新しい楽しみ方もできるのではないでしょうか。ぜひレース以外でも競馬を楽しんでください。
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